私に恋を教えてくれてありがとう【下】
「祐樹……?」


「俺……怖がりみたいだ……それに、俺も卑怯だ。

 今回の妊娠……俺の子じゃなくてよかったって思ってる自分がいたんだ」

華子はえっと顔をしかめた。

「自分に残念で仕方がないし、本当にまだガキなんだなって痛感した。

 自分の体(てい)を気にしたんだ。

 これはきっと周囲の人間には知れ渡らない事だろうけど

 第三者からすれば、自分の彼女がおろしたいって申し出たって

 そこは責任をとるのが一般的でしょ。


 俺には出来なかったんだ。

 確かに、まだ十分に養えないっていうことは、理由になるなとは思ったけど

 俺は逃げたんだ。

 まだ“父親”になりたくないっていう一心で。


 それで、大好きな華子も離れていかないなら……同意してしまえ。

 俺こそ、もうこの先、父親になっていいのか分からないって思った。

 けど……今、華子は俺の前から消えようとした……

 そうしたら……」


祐樹の声が華子以上に震え、口元がガクガクとしはじめ

華子は思わず祐樹の手をぎゅっと握りしめた。


「俺……俺……

 ……なんで……」
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