私に恋を教えてくれてありがとう【下】
「何で……華子がおろしたいって……理由……
問い詰めないで……同意なんて……したんだろう……って
……きっと……
俺の事……軽蔑したんだって……思って……」
祐樹は必死に呼吸を整えながら、話を続けた。
「俺の知らないところで……どんな想いをしてた???
……華子……
辛かったでしょ……??
どんな気持ちで……俺に……
堕ろしたいって言った??」
顔をぐちゃぐちゃにした彼が放った言葉は、思いのほか胸に刺さった。
……どんな気持ちで……
私は……
「本当の事を言ったら……祐樹は私の事を白い目で見て
……捨てられると思った……
だから、私……
どうしても、自分の醜態を知られたくなかった……
相手は既婚者だったんだ……そんな人と……!」
華子は目をギュッとつむり、最後の一撃とばかりに吐き出した。
正直ここまで明かすつもりはなかったが、言わないではいられなかった……
しまったという顔つきを見せた華子の心中は、もうおだぶつ。
今度こそ信頼を失った。
絶対だ。