私に恋を教えてくれてありがとう【下】
24 想われる
「そら……か……」
淳一郎は考え深くこぼし、その“そら”に目を移したが
その“そら”は雨模様だった。
手元には手帳ではなく、箱の中に一緒に入っていた手紙だった。
淳一郎はそれをやさしく手に取り、読んだ。
「……拝啓……佐藤華子様……」
“この度の事は本当にごめん。
でも、僕はこれからも君と、僕たちの子を想って行きます。”
一枚目はこれで終わりだったが、二枚目は……
“命名『和葉』
君と僕ということです。
これから毎年供養に足を運びます。
お願いだから場所を特定させて欲しいです。
僕の家とあなたの家の中間の場所で……。”
そしてもう一つの封の中には
30万程の現金が詰められていた。