私に恋を教えてくれてありがとう【下】
華子は、祐樹の手を取り、車に戻ろう?と促しながら
空を仰いだ。

「今日、また恋をした感じだよ。

 同じ人に。

 お得な人生だよ」

「?????」


ちんぷんかんぷんな祐樹を、仕方ないなと片眉を困らせながら

華子は笑った。


「なんだよ!!もう!!

 ほら!駄目だよ、手を洗ってから帰るよ!」


どうやら祐樹は拗ねた模様で、華子の手にこれでもかと冷水をかけ続け

それにカチンと来た華子は、その水を祐樹の顔にはね付け

祐樹は負け惜しみに、この子は!!と吐き捨てた。


これが、白石夫婦の形なのだ。


華子はこういうかけ合いが愛おしくてたまらない。


幸せだ……。



後はそらさえ……。





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