私に恋を教えてくれてありがとう【下】
風は、だんだんと力ないものに変わっていった。

遣らずの雨なんて降りもしないし

引かれる後ろ髪もない。

ただ背中を押されるのみ。


障害は自分の建て前だけで、その建て前を彼は崩落させる。

いいから行きなと……。


寧ろ、行けと。


祐樹はハンドルを切った。

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