私に恋を教えてくれてありがとう【下】

別館の更衣室で身支度を終えたそらは、再び病室に戻り

淳一郎が来るのを待っていた。


少し暖かいところで待っていて欲しいという、彼のご指示である。

以前から、こういう気遣いはあったものの、

この状況下での優しさは不思議と身にしみるものがあったのか

そらは、窓に映る自分に微笑みかけていた。


それにしてもやけに外が騒がしい。


風が止んだからか?入院患者はこんなに騒がしい中でいつも大変ね……と思ったが

どうやらおかしい……。


そらは椅子に荷物を置き、ナースステーションへ窺いを立てようと

足音を最小限にしていった。



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