私に恋を教えてくれてありがとう【下】
それは細かく雪になり、華子を包み込み

深層にあったどろどろした溶岩をやさしく冷まして行き

ドクンと満身が大きく波うった。


清らかなものが身体を駆け巡り、昔、自由奔放に吠え、

噛みつき、いやしく喉を鳴らしていた生き物の屍が浄化された……。


……でも……

また違うもので華子の中は荒らされるのだ。

華子の胸はざわつき、反対の腕に爪を立てた。


夫人は華子の手元に気がつき、止めようとしたが

こちらへ向かってくる足音によって止められた……。





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