私に恋を教えてくれてありがとう【下】

夫人の表情はピクリとしたまま固まった。

華子もだ。


「……ええ……わかりました……

 行きましょう?」


「!?」

夫人は華子の方に手をやった。


「……!?」


本当は目が飛び出しそうだったが、そらがいる手前そんな顔はすることが出来ないが

華子は“わたしもですか?”といった真ん丸な目を夫人に向けた。


「ええ……来て頂戴。

 私のお願いよ?……勿論きいてくださるわよね?」


低い濁声だ。


「いいですか?お義母さん?急ぎますので……」


憚(はばか)りながらと言った様子で淳一郎が急きたてた。




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