私に恋を教えてくれてありがとう【下】

華子はそらの“母”の姿を見、そらは華子の“女”の姿を見た。


……そらは思った。


母は自分に叩きこんだ常套句……それは“母の様にならないで”という願いで

愛だったのだと。

そして今感じるのは、この“酷く残忍な嘘で包まれた母”を助けたいという気持ちで

どんな罪人でも、愛があれば信じる事が出来るということ……。

だってこんなにも母が、淳一郎が、この子が愛おしい……。


この子が道をはずしてしまっても、私だけは味方でありたい

母が汚らわしい沼地を経てここまで来たのなら

私が泉へ連れていくのだ。


……淳一郎と手を取り合いながら……。

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