私に恋を教えてくれてありがとう【下】
「お母さん……」
そらが憂慮な顔つきの華子に低い声で言った。
「もう私……大丈夫だから……」
華子は耳に入った言葉を整理するのに時間がかかっている様で
なかなか返事をよこさなかったが
だんだんと目が真ん丸になって行き、そらの方を勢いよく向いた。
……華子の視線の先には自分にそっくりなそらが微笑んでいた。
いや、今まではそうだったが今のそらはやはり“祐樹”に似ていた。
あの時の、華子を支えてくれる祐樹の笑顔にそっくりだった。
そらの言葉は託宣。
……こんなにも救われてしまった……
「そら……」
そらを包んだのは羽衣。
愛しい母の香り……。
「私の子に生まれてきてくれて
……ありがとう……!!!」
耳元で囁いた華子はあたたかかった……。