私に恋を教えてくれてありがとう【下】
華子はかたくつむっていた目をゆっくり、ゆっくりと開いた。
窓際には夫人が毎日変えていたと思われる程
美しく、愛らしい
燃える様なチューリップが飾られて
先生の好きだった豆大福もきっと
一日一個といった具合で増えたに違いない……。
そして牧田は……ベットではなくストレッチャーに横になり
点滴が繋げられていた。
華子の胸は締め付けられると思ったが、ただ、とくんとくんと
胸の音が鳴り響くだけだった。
「先生?」
華子は歩み寄った。
牧田は脱水を起こした様な萎れた首が目立っていた。
スーっと気持ちよく寝ているようでピクリともしないが
華子は話かけた。