私に恋を教えてくれてありがとう【下】
「……ちょっかい

       ……ですか?」



「なーにまたそんな目を真ん丸くさせてるんですか


 んはははははは!」


まさにどっちが目頭かわからない位目を真ん丸くさせていた。


また和やかな柔らかい空気が流れ

華子は手をもじもじさせながら聞いた。




「先生……


 あの、怒ってないんですか?」



「?怒る?何をです?」

牧田はピエロみたいに驚いたポーズをとってみせた。

のけぞり過ぎでイスが悲鳴を上げた。




「あ……ですから……

 ちゃんと介助しないで……私……

 すみませんでした」




まだピエロなポーズの牧田に向かって

深々頭を下げ、勢いよく振り上げた。



牧田は何も答えない。

ただ腕を組み、天井に向かって思案顔をしている。

暗い部屋だ。

何が見えるわけでもない。



華子は

軽く握った手をふっくらした唇に当て

申し訳なさそうに牧田を見た。



すると牧田は天井から答えを見つけたようで



わかった!!




とばかりに手をポンと叩いて

華子に提案した。



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