私に恋を教えてくれてありがとう【下】
「一緒に帰りましょう」
牧田がごにょごにょと呟いた。
「へ!?」
「帰り金井さんが待ち伏せしているかもしれないし」
華子は面食らった。
「あなた 金井さんにちょっかい出されてたんでしょ
彼の顔だけしか見えませんでしたけど
そうでしょ?」
華子は急に喉が焼けた感じがして
牧田の足元に視線を集中させた。
「あなたはちゃんと介助しました
僕はそんなことで怒るような
非人道的なやつでもないし
僕が介助させなかったんですから
何も謝ることはないんじゃないですか?」
・・・危ない。目頭が熱い。・・・・
先生はわざと金井の介助をさせず
引き離してくれたのだ。
言いたいこと山ほどあるが、今口を開いたら
我慢しているものが一気に溢れ出てきそうで
首を振ることしか出来なかった。