私に恋を教えてくれてありがとう【下】
華子の日記
1、日記
病室のベットの上で
そらと淳一郎は
窓をうるさく叩く風の音を聞きながら、
薄汚い箱のまわりの
古く頑丈に巻きつけられたビニールテープを
何とかはがしていった。
ほとんどを彼がやってのけたので、
彼だけに、酷い粘着と埃が爪痕を残した。
淳一郎は消毒用のアルコールで何とか汚れを取ろうと試みた。
そらはカビ臭い箱に恐る恐る手をつけた。
「手帳ですか?」
淳一郎が手を拭きながらまじまじと見た。
「うん。
・・・・・そうみたいだね」
とてもかわいらしい、
ポップな絵柄の手帳が3冊。
それと、封筒と、
他にも小さく可愛い箱が入っている。
そらはとりあえず手帳をパラッと見てみた。
「淳一郎・・・・これ
日記だ」
びっしり書いてある。
ちらほら父祐樹の名前も見えた。
「本当、米粒みたいな字でぎっしりですね
古いのから読んでみますか?」
そらは彼の意見に賛成し、一番古い日記を手に取り読み始めた・・・・