私に恋を教えてくれてありがとう【下】
やたらと甘い花の香りが漂う季節
華子は例の公園で
昼より少し落ち着いた空気
若葉の葉擦れ、散りゆく薄桃色の花びらを
楽しみながら
ブランコに体を委ね
前祝いの彼と端末を仲介に話をした。
彼は数段声が低く
いつもの楽しい声ではなかった。
そして華子も同じで、むしろ
かなり機嫌が悪い。
『……上の人に言った方がいいんじゃないかな
今度変なことされたらぶん殴れ』
切り返したい。
華子は手に持っていた小枝を
桜の木に投げつけた。
「……ごめんね
ただちょっと聞いてほしかっただけなの」
相手に顔は見えないが、不気味に作った笑顔をしながら
しとやかに返した。