私に恋を教えてくれてありがとう【下】
「ここではまだ学生みたい……」
かわいさと大人っぽさが入り乱れしている母の字は特徴的だ。
そらはちょっと早くページをめくった。
今のところ日記というより、本当の手帳に近い位しか書き込みがないのだ。
「あ……」
そらは手を止めた。
「ここから……読みますか?」
「……うん」
“白石祐樹”
父の名前が出てきたのだ。
ぎっしりと、今度は丁寧な字で書かれている。
○年11月×日
・・・・・・・
そらと淳一郎は19歳の華子の記憶をたどり始めた……