私に恋を教えてくれてありがとう【下】
百合はこの短時間で

現状をほぼ把握したのだろう

突拍子もない声は響かず

静かで慎重な口調で運んだ。



「どんな人?」



“なんで”“どうして”“本気で好きなのか”


答える身構えをしていたのだが

それを先おき

体を結んだ相手のことを聞いてきた。


華子はグラスから視線を外し

真剣な面持ちの百合へと移し

牧田がどんな人間なのか考えながら答えていった。


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