私に恋を教えてくれてありがとう【下】
華子は大きな瞳をゆっくり閉ざし

瞼の奥の広大な花畑にいる“彼”を描いた。



「背が……


 とっても高くて

 ううん……こんなのいいや



 私の勤め先の常勤の先生で

 私のことをいつの間に守ってくれてたり

 ひとつひとつの行動の中心が

 “私”なんだって感じさせてくれる」




百合は華子から目を離さない。


この目に嘘はつけない。



「……正直

 遊ばれるのを覚悟してる。




 だって当たり前でしょ


 今の彼の環境はなんて贅沢なんだろ。



最愛の妻、子供、そして


 ……愛人……」




華子は凍りついた。


そう


華子にはその自覚がなかった。
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