私に恋を教えてくれてありがとう【下】
もう少しで待ち合わせ場所に着くや否や
はっきりと自分を映してくれないガラス達に不満がよぎって
最終テストとして、
斜め掛けの麻のバックから
十分に自分を映す鏡を取り出し
やっと点検済みの判を押した。
そして時間の確認だ。
向こうが先に店の中に居る約束をしてあるし
今日華子は自分の誕生日の前祝として来ているのだから
自分が先に入って待っているというケースはちょっと避けたい……。
しかし、そんな心配も要らず待ち合わせの18時ぴったりだった。