私に恋を教えてくれてありがとう【下】
「先生についていこうと必死なんですよ

 かなり頑張ってます」


華子は差し支えない程度の

控えた笑いをした。


でも彼女の足は確実にカウンターの方へと向かっていた。


しかし話は続く。


「佐藤さんのまつ毛は地まつ毛ですか?

 長いですね」


「貴方には関係ないでしょ。

 それにこんなに黒々としてるんだから

 化粧の力にきまってるでしょうが。

 変な質問する暇あるなら

 早くその山になったカルテを捌きなさい」





心の中で叫びながら


「あははは!

 ある物の力を借りてます

 あんまり見ないでやってくださいな」


体はカウンターの方を向いていたため

華子は見返り美人図の様に振り返って答えた。



すると肩をそびやかしたがたいのいい誰かが華子にぶつかった。



< 84 / 355 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop