私に恋を教えてくれてありがとう【下】
「じゃぁ僕はどうすればいいんですか」


牧田は持ち前の高慢な態度で切り返した。


華子は負けじと

目をキッとつり上げて斜めに顎を突き出した。



「分別をつけてください!

 TPOを考えてください!

 行動を慎んでください!

 あんまり私のことを見ないでください!

 開き直ってるその態度がいや!

 私我慢していましたけど

 もうだめ!

 私のことを大切に思わないんだったら続けてくださって結構です!」



牧田は華子から繰り出される暴風になぎ倒されそうになり、支え木の様に机に手をついた。


いつもより間抜けな顔の牧田と

初めてかなぐり捨てる様に吐き出した華子はお互いの姿に唖然とした。



しかし

暴風も勢力をなくしては続きはしない。


医局へ向かう足音がぺったぺったと響いた。



牧田は慌てて自分の机に腰かけ
パソコンで腹部CTの所見を見始め


華子は流しの横に布巾を干し

何食わぬ顔でドアを開け

さわやかな笑顔で医局へ到着した先生に挨拶をし

その場をあとにした。



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