私に恋を教えてくれてありがとう【下】
今日は祐樹の案で

旧作の映画を映画館で安くみる、というプランであった。


祐樹は昼前ということもあり

飲み物だけを買い

華子は食いしん坊なもので

冷凍のクレープを買ってきてもらった。



またしても祐樹は華子を完ぺきにエスコートしていた。


「はいどうぞ

 食前のクレープでございます」


祐樹は隣に座る嬉しさか、暗がりの中で顔が赤らんでいるかはわからないはずだが

歪んだ表情から照れていることがよくわかる。


「ほほほ、やはりこれが無くては

 映画は見れませぬ」


小声でコロコロと笑った。



今日の彼は程良い胸あきのVネックに変わったベストを合わせ、パンツはスキニーだ。

10ホールのブーツもなかなか似合っている。


お得意の目端遣いで祐樹を観察した。


するとその視線に気付いた彼は
何かを言おうと口をパクつかせたが
その瞬間館内の照明がおとされ

スクリーンの幅が狭まり上映の開始を予告し

二人は繋がった視線を何故だかへへっと笑ってから離した。

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