愛のない世界
しかし、中には単純な男達ばかりではない。


ナルの入った男。


そんな男に当たると、最悪だった。


こればっかりは、寝てみないと分からない。
が、気付いた時には、後の祭。


ナルの男は、面倒臭いしウザイ。



自分の世界へと酔いしれないと、イケない性分らしい…。


女が主導権を握ろうというものなら、凄い剣幕で怒り狂う。


そして始めから、自分のペースで順番通りに行為をやり直す。


ゆっくりゆっくり、ネチっこく…。

頭から爪先まで、執拗までの愛撫を繰り返す。



そうなると、彩香はどうにも出来ない。


ただただ、男に従うだけ。


イライラを抑え、必死でガマンする。


早く、行為が終わって欲しいから…。



『あーっ。ウザイッ!帰る!』
言いたくなる言葉を、必死で飲み込む。


ガマンの限界が達しそうな時、この衝動を堪える為、彩香は全く別なコを考えるのだ。


― これは一夜限りの夢なのだ…

これは、夢 幻なのだ ―

と…





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