愛のない世界
― ドスッ ―
という音と共に、彩香は壁に激突した。


「…うっ…」
彩香は、うめき声を上げ倒れた。


そして、苦しさから解放された彩香は、胸に手を押し当てて餌を欲しがる魚の様に、口をパクパクさせながら必死に息をした。


ゲホッ…、ゲホッ…

何度も何度も咳き込む、彩香。


未だ止まぬ苦しさに、涙がポタポタと滴り落ちるのだった。





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