愛のない世界
「あっ、ありがとう…」
彩香は立ち上がり、服の埃を掃(はら)いながら男に礼を言う。


「こ、こちらこそ…すいません…」
男は再び、彩香に謝った。


二人は、その次の言葉が見つからないまま、また、ただただ黙って互いの顔を見つめ合っていた。


それは、数分間の間。
だったのかもしれない…。





< 46 / 94 >

この作品をシェア

pagetop