愛のない世界
「もっと早く、君と出会いたかった…」
男は、彩香を抱き締めながら呟いた。



彩香の体温を布越しで感じた時、始めて男は、目の前にある『死』を恐れた。


男は震える躰で、彩香の首筋に顔を埋め、更に力一杯に抱き締めた。



何かにすがり付く様に…




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