愛のない世界
「これは一夜限りの、夢。これは一夜限りの、偽りの愛。これは一夜限りの嘘の愛、なんだよ。彩香…」

そう、男の口から告げられたら…


私は、どうなるの?



そんなふうに思ったら、彩香は男の本心を聞くに聞けないまま、もどかしさだけ沸々と募らせていた。



愛に臆病で弱虫な、もう一人の私、彩香。


いつもそこに佇んでは、薄ら笑いを浮かべているのだった。






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