愛のない世界
『愛』を覚えると、見えないもう一人の自分が顔を出す。


恋の邪魔をする。

恋を馬鹿にする。

恋を傷付ける。

嫌いな自分と、いかにも共存しているのだと、知らしめる為に…


愛を知れば知る程、嫌いな自分が侵蝕して犯すのだ。





彩香の心は、いつも猜疑心で一杯だった。


愛の言葉を、確かな言葉で言われても疑い、愛する気持ちを、確かな心で伝えられても疑っていた。


人を信じるコトより、人を疑うコトで今まで生きてきてから…


その方が、ラクだったから…





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