Pinky2
パンッ!!



その音と共に一斉に走り出した。



うわぁ…
私達のチーム、1位やん。

すごい…!!



どんどんとバトンパスが行われて行く。


そして、私はふと横からの視線に気づいた。



その方向を向くと…


鈴ちゃんがいた。



鈴ちゃんは私を睨み付けると前を向いた。


「風岡先輩は券もらってましたよね。なら、美緒お姉ちゃんなんかに券は渡さないよ。」


低く、落ち着いた余裕のある声だった。



すると…



「あぁ!!美緒ちゃん、どうしよう、あれ!」

前の同じチームの子が声を上げた。


見ると、さっきの私にアンカーを押し付けた子が、力なく走っていた。


そのせいで1位だったのに、どんどん抜かされて、今は6位。



…なんで?


端から見てもやる気がない様にしか見えない。


わざとや…。


すると横でクスッと笑う声が聞こえた。


「やだぁ。美緒お姉ちゃんってばとぼけちゃってさぁ。」


まさか…



「私とあの子で手を組んでるの。だから勝てっこないよー。」


そう言って笑う鈴ちゃん。

ほんと、おばさんにそっくりやね…鈴ちゃん。


性格悪すぎやん。




しばらくすると、5位のバトンが回ってきた。


「仲本さん!よろしくっ!!」


力強く渡されたバトン。


なんとしても3位以上に入らな!



私は猛ダッシュで走り出した。


最初から全力疾走なんてアンカーがすることやないけど、それしかなかった。


最後で追い上げるなんて啓みたいにかっこいい事でけへんよ。


やから、私は私のやり方で勝ったる!!


だから、走り終わったら啓に褒めてもらお!



もうその事ばっかりで無我夢中で走った。
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