Pinky2
女子アンカーは最後で2周走る。


その間に奇跡が起きた。




パンッ!!




この音でハッとした。



あれ…え?



グラウンドのレーンを見ると、まだゴールを切っていない人が4人いた。


あれ…私、何位!?



「もぉーっ!!」



横から叫び声が聞こえてきた。


「何でよ!何で!?あんなに離れてたのに!」


…鈴ちゃん。

その後、結果がアナウンスで聞こえた。



私は2位だった。

2、3位のかたまりをゴールギリギリ手前で抜いたらしい。


「美緒ーっ!お前足速かったなぁ!やっぱ渚さんと練習しててよかったな!」


競技が終わり、私は自分の席に座ったとき、啓に後ろから頭をくしゃくしゃにされた。

それが嬉しくて嬉しくて仕方なかった。

だから、正直に言ってしまった…。


「啓だって本気で走ってたからカッコよかったやん。」


「…。」


ピタリと啓の手が止まる。
…???



私が不思議に思って振り向こうとした時…

ぎゅ…


後ろから抱きつかれた。

く…苦しい。


でも幸せだった。



「はぁー…頑張ってよかった。」



冗談めかして言う啓に私は笑った。


「おーおーおー、なーに2人で勝手に盛り上がってんですか〜?」


「あっ、さっ君!?」


横を向くとさっ君とあきれ顔の奈々に笑かけの英二がいた。


…なんで英二笑ってるん?

と不思議そうに見ると、



「啓ー、悪かったって、2人の邪魔して。」


と言った。

じ…邪魔って…。


「んな拗ねた顔されると笑止まらないって!」


「…?」

啓…拗ねてんの!?


私はチラリと啓を見た。


「なんだよ。」


啓はよく見ると耳まで真っ赤だった。


「啓も美緒も大丈夫ー?顔真っ赤だよ?」

ため息混じりに笑うのは奈々。



私まで赤くなってんのか…。

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