Pinky2
ひと安心したのもつかの間…



《只今、電話に出ることができません。ピーッと鳴った後に…》



しーん…




静まり返った車内にはお兄ちゃんの携帯の音が聞こえた。



……。


「う…うそやろぉ〜!?」

啓はガックリと項垂れた。
きっとずっと車の中やったから疲れてるんやと思う。


「お兄ちゃん、どうする?」

「そやなぁ…。疲れてて嫌やったらこのまま繋がるまで待っとくけど…しんどいやろ?」


「うん。」



「やから、ちょっと観光しに行かへんか?」


「やっ…」

「おっしゃーっ!!それナイスアイデア!!」


私が「やったぁ!」と言おうとした瞬間、さっきまで死にかけやった啓がいきなりよってきた。




…うわぁ……単純。



それから私達は3人で観光に行った。


「あー…はらへった。」

という啓。


「ほんなら飯食うか。」

お兄ちゃんが言った。


「うん!」

私がそう答えた時…。



「あ!」


と、いきなりお兄ちゃんが大きな声出した。


な、何?


「あれ、こないだテレビでやってた店やん!」


お兄ちゃんはキラキラした目でそのお店に見入っていた。


けど、よほど評判がいいのか、長蛇の列や。



「なぁ…」


ま…まさか…。

私と啓はとっさに目を合わせた。


「あそこ行こう。」


でたー!!


「えー…すんげぇ時間かかるやんか。」


「大丈夫。俺が並んどくから、お前らはこの辺でうろうろしてこいな。」


なんだ。

一緒に並ぶんじゃないんや。



「わかった。順番きたら読んでなぁ。」


私はそう言って啓と2人で観光に出掛けた。
< 118 / 140 >

この作品をシェア

pagetop