Pinky2
《そう!パパがね、会社の飲み会のビンゴで当てた商品券らしいの。》


そういえば、奈々のお父さんは有名な会社に務めてるんだっけ。

「え、それってタダって事なん?」


《そうそう!ね、ちょうど4人分だから行こ!》

「い…いいん?」

《てか、来てくれないと勿体ないじゃん。》

「ありがとう!じゃ、是非とも行かせてください!」


こんな贅沢ないわ!

「え!?何、どっか行くんか?」

啓が私の方に寄ってくる。

「あ、じゃあまたね!うん。ばいばーい。」

私は電話を終わらせた後、啓に話した。


「あんね、奈々がタダで旅行いけるから一緒にって。」

にこにこしながら言うと啓は放心状態になった。


「は…旅行?」

「…?うん。」



どうしたんやろ。

私を見てくれへん。


「行きたくないん?」

「いや、んな訳ないやろ。行くわ。」


パッとそっぽを向いて言う啓。


…変やなぁ。



「それってさ…4人なんか?」

「みたい。」



それを聞いて啓は何かブツブツ言っている。

「まじかよ…やべぇ。」


「何がやばいん?」

「あ、いや!別にっ。」



焦っているらしく、急いでまたソファーに座り直す。

…何?

そんな反応されたら気になるやんか。


私は啓の横に座って顔を覗き込む。




んちゅ…




「…え?」

不意打ちでチューされてしまった。


「無防備すぎ…。」

ポソリと啓が呟く。
< 4 / 140 >

この作品をシェア

pagetop