Pinky2
は、走るの速い!!



「な…渚さん、はやっ…待って…。」



私はヘロヘロになりながら渚さんを追いかけた。



すると、渚さんは走るのを止め、近くにある公園のベンチに腰かけた。


やっと追い付いた私はその隣に座った。



「もうだめ…無理なの…。」


それは聞いたことのない、初めて弱音をはいた渚さんの弱い弱い声やった。



「あの時…あの道を選んだのが間違いだったわ…。」


「間違い…ですか?」


私はお兄ちゃん達が別れた理由なんて全然知らへん。

お兄ちゃんは話してくれなかった。




「私、看護師になるのが夢だったのよ。徹もそれをずっと側で応援してくれてたの。」



そうだったんだ…。


「でもね…ある時、私は親に勝手に進路を変えられたの…。」




「親に…?」




「そう…。」


たしか渚さんのお家って…めっちゃ豪邸やったやんな。


親には逆らえないって…。
「初めはね、結婚相手を決められて、危うく婚姻届をだすところだったわ…。」


「そんな…。」



「でもね、いくら親には逆らえない私でも、それだけはずっと拒否し続けたの…。徹がいるからって…。」



そこまでお兄ちゃんを思ってくれていたのに…どうして?



「そしたら、徹との仲は許してもらえたわ。でも、そのかわり…。」



「そのかわり…?」




続きを言おうとする渚さんの顔が曇り始める。




「看護師になるのを諦めて、家の会社で働きなさいって…後を継げって…言われたの。」



たしか渚さんにはお兄さんがいたけど、出ていってしまったんだっけ…。



「私はね、徹と一緒にいれるなら、夢も諦められると思った。」


私だって、啓のためならきっとそうする…。



「だから、徹に諦める事を伝えたの。そしたら…」



渚さんの声がだんだん鳴き声に変わっていく。




「"俺が好きになったのは、そんなお前じゃない"って言われたわ…。」



!!?



お兄ちゃんがそんな事…。
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