紙飛行機が届けた詩
白い紙飛行機
「あぁーもぉ!決まんなーい!」
春の匂いを微かに残す5月下旬。
雨だと予報された天気が嘘のように
日差しが容赦なく照り付ける。
あたしたちは帰路である北川橋の欄干にもたれていた。
「まだ決まってないの、和[ナゴミ]だけだって?どーすんの」
右隣りの雅[ミヤビ]が
背を欄干に預けたまま、顔をこちらに向けて言う。
「なーんも書いてないじゃん。マジやばいっしょ」
左隣りの友愛[トモエ]が
あたしの手に握られた空白ばかりの進路志望書を覗き込んできた。
「大きなお世話。それより、二人はどーなのよ」
あたしは志望書を背中に隠し二人の方を向く。