紙飛行機が届けた詩



待ち合わせは9時。

まだ15分早いな。





自分の腕時計を確認しながら
正門の塀に背を預けた。





今日は学祭当日。
女子高生の相手をしなければならない。



何でおれが…



「よぉ、帝」




声のした方へ顔を向ける。




「…飛鳥

稽古は良いのか?」



「余裕」



飛鳥は微笑んだ。

これは、女だけでなく、男までも悩殺する兵器だ。





「天才に努力はいらない、か」



「天才だって、影で努力してる。
帝が一番知ってるでしょ。

おれはただ、面倒くさがりなだけ」



そうか、と言って空を見上げた。




「そろそろ9時か」


「あと15分。
これから女子高生相手だよ。
ファッションショーだってあるし、科の店だって行かなきゃなんないし
……シークレットライブあるし」




今日はかなりのハードスケジュールだ。



「大変だね。まぁ、死なない程度に頑張って」



飛鳥は演舞会場の方へ歩きだした。


< 34 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop