紙飛行機が届けた詩
待ち合わせは9時。
まだ15分早いな。
自分の腕時計を確認しながら
正門の塀に背を預けた。
今日は学祭当日。
女子高生の相手をしなければならない。
何でおれが…
「よぉ、帝」
声のした方へ顔を向ける。
「…飛鳥
稽古は良いのか?」
「余裕」
飛鳥は微笑んだ。
これは、女だけでなく、男までも悩殺する兵器だ。
「天才に努力はいらない、か」
「天才だって、影で努力してる。
帝が一番知ってるでしょ。
おれはただ、面倒くさがりなだけ」
そうか、と言って空を見上げた。
「そろそろ9時か」
「あと15分。
これから女子高生相手だよ。
ファッションショーだってあるし、科の店だって行かなきゃなんないし
……シークレットライブあるし」
今日はかなりのハードスケジュールだ。
「大変だね。まぁ、死なない程度に頑張って」
飛鳥は演舞会場の方へ歩きだした。