紙飛行機が届けた詩
「何変顔してるんですか。そんな顔してると、もっと女の人から避けられちゃいますよ」
余計なお世話だ。
「彼、意外とモテるんだよ
ねぇ、城谷み…」
「そろそろ演舞会場行かないと満席になるよ」
虎牙が言い終わる前に割り込んだ。
「それまずいです。兄さんに感想聞かれるんで、良いとこで見ときたいです。」
雨音さんは立ち上がった。
「えっ、何何?雅ちゃんの兄ちゃん、うちの伝芸科なの?」
虎牙が食いつく。
「はい。雨音飛鳥っていいます。」
「あぁ!飛鳥の妹なんだ。おれ達超仲良いよ。」
「そうなんですか。いつも兄がお世話になってます。」
雨音さんが頭を下げる。
「いえいえ。こちらがお世話になってるから。」
虎牙も座ったまんま軽く下げる。
奴が話し始める前にこの場から撤退しなければ。
「…じゃあ、行こうか」
彼女達を促し、席を立つ。
おれは、虎牙を見ないように会計へと急いだ。