紙飛行機が届けた詩
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うっわ!
めちゃめちゃ人いるし。
演舞会場で受け付けを済ませ、会場入りしたは良いものの…
席はほぼ埋まってるし。
まだ開演40分前ですけど!
雅のお兄さんの凄さを改めて実感…
(前からチケットなかなか取れないの知ってたからねぇ)
「…あっち、ちょうど四つ空いてる」
城谷さんが指差す。
右側の真ん中辺だ。
あたし達は他の人に取られないよう、素早く移動する。
「もう少しあっちで見たかったねぇ」
友愛は中央席の方に目をやる。
「そんな贅沢言わない。後ろで立って見てる人もいるんだから」
雅がまだ幕の上がらない舞台を見ながら言う。
右から城谷さん、あたし、友愛、雅の順だ。
あたしは城谷さんを横目で見る。
頬杖をついて、つまらなそうに幕を見つめている。
見た目こんなんなのに、ひとつひとつのパーツはすごく綺麗に整ってる。
不思議と吸い込まれてしまいそうな空気を纏っている。
「…何?」
「いっ、いや…何でもないです…」
いつの間にか凝視してしまっていたらしい。
あたしは恥ずかしくなって、熱くなった顔を隠すように俯いた。