蒼い月の雫
・・・・・
・・・


飛行機に乗っていた.一番後ろから二番目,窓側の席だった.
ふと窓の外に黒い影が走った.

更にもう一つ.
影は次々と増えていく.その中の一匹が自分の席の近くに来た.

そいつはギラギラと光る赤い目で窓越しにこちらを見ると,牙を剥き出して口元だけの笑みを作った.


そうだ,自分はこの化け物達を倒さなければならない.
幸い,隣の席の乗客2人は寝ており,先ほどのことも気付いてはいなかった.
自分は特別な存在だ.この窓の向こうに擦り抜けることなど容易だ.

よし,行こう.
そう決めてシートベルトを外そうとしたときだった.

ガクンッ・・・

「なっ・・・」

機体がいきなり大きく動いた.客席から小さな悲鳴が上がる.

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