蒼い月の雫
ガタガタと揺れる機体.乗客の悲鳴.
酸素マスクが下りてきているが,皆パニックをを起こしているのか気付いている者はいなかった.

隣に座っている夫婦と見られる客は手を握り合っていた.
時々聞こえる「らん」というのは彼等の娘か何かだろうか?

機体が落下していくのが分かった.
窓を見るとだんだん海が近付いているのが分かった.

時間が遅く感じられた.
さすがに乗客を助けることは出来ない.
それほどの力は,まだ自分は持ってはいなかった.

無力感を感じながら防御体勢に入った.
死んではならない.
今自分が死んだらもっと多くの人間が死ぬだろう.

落下する機体.海は目の前だった.
多分,ほとんどの人間はバラバラになるだろう.
機体も炎上,もしくは爆発するはずだ.



そして・・・


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