蒼い月の雫
狼の額から指を放す.
その途端,狼はその場に崩れ落ちてしまった.

狗音は彼女を抱きかかえるとリビングへ向かった.
明りを付けると至って普通の部屋だった.
ソファーに狼を寝かせると床に座った.


さっき狼に見せたのは自分の「キオク」だ.
狗音こそが,あの飛行機事故で生き残った一人だった.

あの後救助隊に助けられ暫く入院した.

何故狼のもとに行こうと思ったのかは分からない.
だが,本能がそう告げていた.


「狼・・・か」


彼女の家族を奪ったのは自分かもしれない.
狗音は,そう思っていた.



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