蒼い月の雫
ヒュッ・・・と風を切るような音がしたかと思うとドスッと鈍い音が狼の前方からした.

薄暗くてよく見えないが,何かが地面に落ちてきたようだ.


「・・・何?」



カツリ・・・と乾いた音がした.
落下した場所に「何か」がいた.
黒光りする体,ボロボロの翼,犬のような頭に口には鋭い牙が並んでいる.
先ほどの乾いた音は,この「何か」が歩いて爪が地面に当たった音だった.


「ひっ・・・」

狼は逃げようとした,が足が動かない.
黒い化け物は低く唸りながら曖緋に近付いている.
ズラリと並んだ牙が薄暗い闇の中で異様に光っていた.


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