溺愛ドロップス
「ほら、直った。」
『えへへ。サンキュー♪』
「おー。」
『………あっ!』
「なに。」
『変なことしてない、よね?』
「は?してねぇよんなこと。直してやったのに失礼だろお前。」
『なははー!』
だって、性格ひん曲がってる零ならやりかねないんだもん。
あたしのセリフにグッと眉間にシワを寄せた零に『ごめんね♪』機嫌を取るようにかっと笑って謝るけど、あたしの手は変なことされてないか確かめるため髪を触る。
うん。何もされてない。大丈夫みたいだ。
そのことが確かめられるとやっと自転車から降りたあたしに零が「…うぜぇ。」ぼそりと呟いて、もう絶対ぇ何もしてやんねぇと心の中で誓っていたことをあたしは知らない。
『よしっ!じゃあ始業式に行こ――…って、えぇ!?ちょ、零待ってよっ。』
テンションが回復して上機嫌なあたしは地面に足を就けると、両手を空へ掲げて声を上げる。
傍に居る零に"ねっ♪"と顔を向けて同意を求めようとすれば、瞳に映った零はいつの間にかあたしから離れ一人歩き出していた。