溺愛ドロップス
先行くとか有り得ないんですけど!!
離れていく零の背中を見てカッチーンと頭にきたあたしは、今立っている場所から地面を蹴って零目掛けて走り出す。
ドドドドドッと自分的に猛スピードで走るあたしはすぐに歩く零に追い付き、その背中に『とうっ!』突進する勢いで(ていうかもう突進)思いっきりぶつかってやった。
だけど突進したのはいいけど、ぶつかって返ってくる反動は結構痛い。
『痛てててて…。』
勢いあまり過ぎて零の背中とぶつかった肩がジンジンと痛みを訴える。
痛いなもーっと、自分自身が悪いのにぶーっと膨れて甲斐甲斐しく痛む肩を擦っていれば、「おいコラくそチビ。」ガシッと頭を掴まれる感覚。
『…へ?』
肩から目を凄みの利いた低い声が降ってきた方へと持ち上げたなら、そこには不機嫌極まりない零の憎たらしいほど端整な美顔があたしを見下ろしていて。
うっはっ!やばばー…。
あたしがしてしまったことを過去に戻って取り消したいと、零に頭を掴まれ見下ろされながら本気で思った。