溺愛ドロップス
髪がボサボサになって泣きそうになったさっきとはまた違う。痛くてマジ泣きしてしまいそうだ。
だけど、泣いたらせっかくのお化粧が崩れて瞳を囲んだラインが滲み、それこそほんとにパンダみたいになってしまう。
グッと顔全体に力を込めて涙が零れるのを耐えていると、零はそんなあたしに気付いたのか。
「ぶさいく。」
最後のとどめと言わんばかりに頬っぺたを摘む指に力を入れてそのまま横に引っ張り指をピッと離した。
指が離れて頬っぺたをすかさず押さえて泣きそう(ちょっと泣いてる)あたしをざまぁみろと鼻で笑う零は地獄に落ちればいいと思う。ほんとに。
それほど痛いのだ。
『…っバカバカ鬼悪魔!痛いよ死ねっ。』
「てめぇが悪ぃんだろ。自業自得。」
『でもでも…っ!やり返さなくてもいいじゃん!!』
「あ?そんなん無理。むちゃくちゃ痛かったんだから。やり返さなきゃ気ぃ済まねぇ。」
『…〜酷い!男のくせにヘタレ!それぐらい我慢しろっ最低!』
「いきなり突進して来るお前の方が酷いわ。つーか超うぜぇ。」
はぁ、と重たいタメ息を吐く零。