溺愛ドロップス



有り得ない…。どうしたらいいの!?



取りあえずこの学園に居る知り合いに体育館の場所を聞こうとブレザーのポケットからチョコミント色の携帯を取り出し開く。



…と、さらに最悪なこと。



『8時43分!?』



えっ、嘘だ!嘘だうそ!これって完璧遅刻してんじゃん!



パカパカ、今の時間が信じられなくて携帯を何度も閉じたり開いたりして時計を確認するけど、時間は確実に遅刻を表している。



しかもそんなことしていると1分、時間は進んでしまった。



『も、何なのよ今日〜!!』



今さらながら辺りを見渡せば人っ子一人いなくて、ポツンとあたしだけが駐輪場に立っている状態に気付く。



最悪なことがドスドスと重なって涙腺がゆるゆる緩み泣きそうになるけど、やっぱり化粧のことがあるから涙は流せない。



もう遅刻は決定だし、今から慌てたって時すでに遅しだから無駄なのでぐすっと鼻を啜り、あたしは携帯の電話帳を開いて目当ての人物に電話を掛ける。



――…けど、不幸は不幸を連れてくるのか、誰一人電話に出る奴がいない。



ちくしょう…。


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