溺愛ドロップス
気のせいだと最初は思ったけど、でもよーく耳を澄ましてみれば確かに声が聞こえて。
やったっ!体育館の場所聞ける!
テンション下り坂は上り坂に変わり、すたっとしゃがみ込ませていた身体を立ち上がらせると、あたしは耳を澄ましながら声がする方へと歩く。
てくてくてくてく。
立ち上がった場所から歩いていくにつれ声は段々と聞こえてき、ここからだと声がする場所を見つければ躊躇なくその場所に顔を出した。
『……え。』
瞳に映った光景に出た言葉はそれだけで、身体はピシッと石になったみたいに硬直。
ちゃんと、どんな声か聞けばよかった。そしたらこんな場面に遭遇しなくて済んだのに。
あたしの瞳に映るのは、建物の壁に背中を付け、ワイシャツのボタンを全部外し、肩を顕にした服が乱れてる茶髪を巻いた女の子。
と、もう一人。
その女の子を壁に押し付け胸に顔を埋めるピンクブラウンの髪をした男の子。
……が、あたしの零した声に気が付いたのかあたしの方に顔を向けた。
「…なんか用?」