溺愛ドロップス
つい数分前に同じようなことを零にされたようなないような――…なんて、思ったあたしはそろりと瞳を持ち上げる。
持ち上げた瞳に映ったのは当たり前だが零ではない。
だけど零に負けず劣らずの端整な綺麗すぎる美しい顔。
間近で見るそれは、間近で見るものじゃないなと思う。
綺麗に整えられた眉。あたしを見下ろす瞳は二重がくっきり映えた切れ長で。
スッと鼻筋が通った鼻に薄い唇は血色がいい赤。白い肌は赤ちゃんの肌みたいにシミやニキビ一つない。
こんな綺麗な顔は、兄貴で免疫ついているあたしでさえも頬っぺたをピンク色に染めてしまうほど。
カッコいー…。
素直にそう思い、ぽ〜っと見上げながら綺麗な顔に見惚れているあたしは頭を掴まれていることを忘れ、その頭を掴む男の子がフッと笑ったのに気付かない。
「可愛いじゃんお前。」
見惚れる綺麗な顔は動き出し、あたしの顔に影を被せながら近付いてくる。
――…え?と気付いた時にはもう遅かった。