溺愛ドロップス
「誰にバカとか言ってんだよあのブス…。」
息が出来ないことおよそ3分強。
やっとのことで口の中から出て行ってくれた"何か"は妖しく銀糸を引きながら出て行き、その瞬間。あたしはへなへなと地面に膝をついてしまっていた。
腰を支えてくれていた手は離れたものの、未だワイシャツを握るあたしが地面に座り込んでしまったから"何か"を侵入させてきた張本人の男の子も膝をつく体勢になって。
さっき女の子が男の子にヤジを飛ばした方に顔を向けて、男の子は愚痴と共にチッと舌を鳴らしていた。
だけど、あたしはそんな男の子を見ている余裕なんかこれっぽっちもなく。
ハァハァ。足りない酸素を吸い込み、整わない呼吸を整わせようと肩で息をして、まるで全力疾走したかのような苦しさ。
「おい、大丈夫か?」
向けられる言葉はあたしを心配してくれている。大丈夫、って言いたいとこだけど今は嘘でも大丈夫とは言えない。
まだ呼吸が整わないからフルフルとかぶりを振って、大丈夫じゃないと伝える。
そしたら、男の子。
「あんなんで息上がるとかお前処女だろ。」