溺愛ドロップス



零して、だけどすぐに声と一緒だった間の抜けた表情は消え去り、フッと不敵に持ち上がった口角。



まるであたしの嘘を見抜いたかのようなその表情に、うっと息を詰まらせ、あたしは少し身を引いてしまう。



だけど、負けるのは絶対嫌!



引いた身体を元に戻し、『う、嘘じゃないからね!ほんとだもんっ。』強気な物言いで嘘を本当だと貫き通す。



そしたら男の子の表情は一瞬にして崩れた。



「っふは。誰も嘘だとか言ってねぇだろ。」



何が、ツボったのだろうか。



真剣すぎんだろ、なんて付け足し笑う男の子に呆気を取られるあたし。



だってこの人。雰囲気が、って言ったらいいのか、あまり上手く言えないけど。外見零と同じようなタイプなんだもん。



テレビで芸人がおもしろいことをしていても絶対に笑わなさそうな感じ。ちなみに零は1ミリたりとも笑わない。



だけど今、クールな印象を持った男の子は表情を崩し、クツクツと喉を鳴らしている。



だからちょっと予想外で、でも笑顔を零すその姿も絵になる。カッコいい以外の言葉は見つからない。


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