溺愛ドロップス



「1年って、今教室で待機中なんじゃねぇの?」

『……え?』

「何であんたこんなとこに居んの。」



初めて、知った。え、1年生ってまだ教室に居るの…?



男の子に言われて、あ、そういえば担任がそんなこと言ってたような言ってなかったような――…なんて。



何とも曖昧にしか思い出せないあたしはどれだけ人の話を聞いていないのか自分自身、思い知らされる。



正直、担任の顔だって曖昧だ。すまない、先生。



難しい表情して、昨日、担任が話していた内容(ついでに顔も)をうーん…と思い出そうとしているあたしに男の子は気付いたのだろう。



「何。知らなかったの?」



クスッと、少しバカにするかのような含み笑いを混ぜたその口調に、あたしは思う以上に相当の負けず嫌いらしい。



カチッと負けず嫌いのスイッチがまたオンになってしまい、『…っ知ってたもん!』さらに嘘を重ねてしまった。



『ただ学園の中探検してただけだし…っ。』

「それで迷子んなったんだ?」

『ちがーう!こんなとこで迷子なんかならないもんっ。』

「…ふぅん?」

『い、今から戻るんだから!』



もう、この負けず嫌いやだ!


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